空紡糸の基本的特徴
先日、「空紡糸」を見る機会がありました。この糸は日本ではあまり見かけません。空紡糸は新しい技術で開発されており、生産コストが低いという利点があります。しかし、細番手の糸を作ることが難しいため、リング糸と共存して使用されています。また、Tシャツやジーンズの分野では、風合いの違いを活かして使い分けられているそうです。
空紡糸の製造原理と特性
空紡糸(オープンエンド糸)は、空気の力を利用して繊維を撚り合わせた糸です。リング糸と比較すると、撚りが緩く、表面はカリッとした感触で、内部はフワッとした仕上がりになります。この特性により、軽量でありながらも独特の風合いを持つ生地が作られます。
リング糸と空紡糸の比較と地域的嗜好
リング糸: 繊維が均一で、糸全体に均一の撚りがかかっているため、締まりがあり、しっかりとした印象を与えます。一般的に多く流通しており、特に日本で好まれています。 空紡糸: 繊維が不均一で、外側に強い撚りがかかっているため、粗野感があり、風合いが異なります。特にアメリカで好まれています。
まとめ:リング糸と空紡糸の違い
項目 | リング糸 | 空紡糸(オープンエンド紡績糸) |
糸の状態 | 糸の繊維が均一で、糸全体に均一の撚りがかかっている | 糸の繊維が不均一で糸の外側に強い撚りがかかっているが、内側には撚りがかかってない |
糸の形状 | 糸に締まりがある | 糸に膨らみ(デコボコ)がある →ゴアゴア感、ドライ感 |
生産コスト | 高い | 安い 最近は、コストよりも風合いの差別化を狙う |
生産される番手 | 太番手から細番手まであり | 太番手のみ(一般には10番から20番が主流、40番程度まで) 最近は改良されており60番も可能 |
強力 | 強い | リング糸に比べると弱い |
好み | 日本で好まれる | アメリカで好まれる |
空紡糸(オープンエンド紡績糸):スライバー(繊維の束)の繊維を一度ばらばらにして、高速で回転するローターの中で、その遠心力で繊維をローラーに内側に並べ、ローターの回転で撚りをかけてつくった糸[繊維素材辞典/一見輝彦]
初稿 2018/08/14 2稿 2025/06/27
