織物の定義とは?

織物の定義とは?

「織物」をどの様に定義すればいいでしょうか? 実は、考えれば考えるほど難しい問題です。いろいろ探した中で、一番良いと思った定義は以下のものです

【張力を持った糸に別の糸を交差させて平面にしたもの】

引用先:吉本忍先生による(民博)

 1次元の糸が2次元の平面(生地)になり、その形状を維持するには、糸と糸の摩擦が必要です。
 具体的には、複数の張力をはった糸(経糸という)に対し、直交する方向に糸(緯糸)を端から端へ通します。この時、緯糸に対して経糸は上か下の位置を取り、このパターンが、緯糸を通すたびに異なり、前に交差させた糸を次の交差させる糸により押し付けていきます。このように経糸と緯糸の交差による摩擦により平面(生地)が形成されるということです。

定義を考え直す 「開口」、「杼打ち」、「筬打ち」

 この織物の定義を織物の3つの基本要素である「開口」、「杼打ち」、「筬打ち」から考え直してみます。

  • 「開口」:緯糸に対して、経糸が上か下かのパターンを作る動作。(このパターンの変化を「組織」とみる)
  • 「杼打ち」:緯糸を通す動作。(原則は、端から端であるが、意匠のために部分的だけ緯糸を通すこともある)
  • 「筬打ち」:緯糸を押し付ける動作。

 このように上述の定義は3つの基本要素とも馴染みが良いことがわかります。

*広義の織物は、緯糸の方向を経糸に直交以外も含みます。
 具体的には、経糸に対して、左60度、右60度の2本の緯糸で構成される織物(3軸織物)が存在します。(3軸は、経糸1方向、緯糸2方向)
 また、経糸に対して左60度、右60度、右90℃の3本の緯糸で構成される織物(4軸織物)が存在します。(4軸は、経糸1方向、緯糸3方向)

*また、タオルなどのパイル織りは地糸が交差し、平面を作り、その平面にパイル部分が接続したものとして考えることができます。

織物の定義にふさわしい

 一方、上述の定義の場合、「平組み物」の様な組み物の一部をも含んでしまうことになります。しかし、長さ方向と垂直方向に糸が交差していませんが、糸が交差して平面を作っているので、これも織物と考えてもよいと思います。
 さらに、「編み物でない」(=「ループを作らない」、「ニットしない」)という意味では、これこそが、織物の定義にふさわしいと思います。

初稿2017/05/07 改正2020/05/23