機能性試験の評価基準:比較評価 vs 測定値基準

比較評価のメリット・デメリット

 機能性試験での「効果あり」については、二通りの考え方があります。①比較評価[未加工と加工した試料を評価試験して、その差が一定以上あれば「効果あり」とする方法]。②測定値基準[評価試験の測定値が、一定の条件を満たしていれば「効果あり」とする方法]。
技術屋の立場から言うと、未加工と加工の差を“評価”してみたいと思います。加工場所が国内であれば、加工前に未加工分を少し残しておけば、それほど難しいことではないように思えます。しかし、海外で生産された製品が多い現状では、未加工分を残しておくのは難しいでしょう。
また、紫外線遮蔽の評価の場合、加工薬剤を入れて加熱します。そのときに生地が収縮し、目が詰まり、その効果で紫外線遮蔽の効果が上昇する場合があります。加工薬剤の影響はほとんどなかったというケースも見たことがあります。これは、特殊な事例かもしれませんが、本当に加工の影響なのか、もともと生地に遮蔽の効果があるのか、このような事例で「効果あり」とうたっていいものか疑問です。試験としては、未加工の生地ではなく、加工薬剤を使わずに同じように熱を加えた試料が必要です。しかし、これをわざわざ作るとなると大変です。

測定値基準の実用性

 ①の方法は、比較サンプルが手に入れやすいときは、正確な試験法だとは思います。しかし、消費者にとっては、未加工か加工かは問題ではなく、②の方法のように試験の測定値が、一定の条件を満たしていれば「効果あり」とした方が、消費者に受け入れやすいと思えます。
試験法として、①と②の方法が並列して定められることが多いようですが、今後は②の方が主流になるかもしれません。

初稿2019/03/21 第2稿2025/09/27

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