ピリングにおける「級」の判定方法 ~官能評価による感覚量の数値化~


「級」の判定方法

 ピリングにおける「級」の判定方法は、1級から5級までの各級の標準写真と比較して、一番近いものを選びます。(評価は、中間評価を認めているため、5段階ではなく、9段階の評価となります。)

運用方法

 このような評価は、他人の評価に影響を受けてしまうことが多々あります。そこで運用方法として、以下の様に行っていました。
他の評価者がいない状態で判定し、その評価をメモしておきます。全員が判定し終わったら、すべてのメモを見て、一番多い「級」を判定結果としていました。
このとき、「級」の違いが、2級以上の差が出たときは、「どこを見て、どの様に認識しているか?」を評価者で話し合いました。経験的な話となりますが、それらが同じであれば、判定の違いは1級までの差におさまります。

感覚量の数値化

 このような評価は、官能評価による感覚量の数値化に他なりません。繊維の世界では、感覚が重要な世界です。そのため、一般的な官能評価を学ぶことで、概念がよりはっきりしてきます。

官能評価

 官能評価では、他人の評価に影響を受けてしまうことが注意点として書かれていますし、判定者の評価(言葉との対応や感覚の数値化)が特定の人だけ、他の人と異なる場合もあります。これをムラと呼んでいます。ムラについては、評価した数値が標準偏差の2倍もずれていたら、どの様に判定者が認識しているか確認することが必要とのこと。つまり、見ているところが違ったりして、認識が異なるということです。これは前述のピリングの判定ともつながります。この場合、異なる評価者間での評価結果に基づく議論や調整が行われます。

パネル

 また、官能評価を行う人を「パネル」と呼び、分析型パネル、嗜好型パネルがあります。分析型パネルは一定水準以上の差異を識別できるように訓練され、嗜好型パネルは一般消費者の代表として想定されており、特に訓練は必要ありません。これにより、製品の評価をより幅広い視点から行うことが可能です。例えば、分析型パネルは製品の技術的な特徴や品質に着目し、嗜好型パネルは一般の消費者が感じる好みや使いやすさに着目していると言えます。

繊維の世界では

 このことを繊維の世界に応用すると、設計の段階では分析型パネルが適し、製品の売れ具合を考えるときは一般嗜好型パネルが適しているのではないでしょうか? 例えば、繊維製品のデザインや素材の特性を評価する際には、専門的な知識を持つ分析型パネルが優れた評価を提供できるでしょう。一方で、一般嗜好型パネルは大衆の好みや使いやすさをより正確に捉え、市場動向を理解するのに適しています。この様に両者を組み合わせて活用することが必要でしょう。

初稿2023/12/31