目付け
「目付け」とは、「ある一定面積における生地の質量」です。
一定面積の質量が大きくなれば、糸がつまっていることになり、生地が「厚い」or「硬い」というイメージになります。ただし、同種の織物の場合だけ有効です。
実際に、「目付け」は「厚い」or「硬さ」を表現する尺度として使われています。
絹織物
例えば、絹織物(同裏など)
「匁付【もんめづけ】」、あるいは単に「匁」という単位(本来は質量の単位)が、厚薄を表すことに使われています。
定義としては、幅1寸【すん】、長さ60尺【しゃく】の質量を匁で示します。例:16匁(16目付)
今の単位に変換すると、1寸=約3.8センチ (鯨尺で)、60尺=約22.8メートル、1匁=3.75グラム
(絹織物は精練で重量が変わりますので、精練後に測定します)
現在の試験方法
現在の試験方法としては、20センチ四方程度の生地の重さを測り、「平方メートル」あたりの値に変換しています。これも精密な秤が普及しているおかげです。
「目付け」は、生地を切って質量を測る正確な秤がない時代は、一定の面積の生地、(例えば、反物の状態)で質量を測って、「目付け」を求めていたことがわかります。そして、その一定面積を言わず、質量の単位で記載し、それが「目付け」として用いられています。
デニム生地
他の例としては、デニム生地
同様に、オンスという単位(本来は質量の単位)が、厚薄を表すことに使われています。
定義として、1平方ヤードあたりの質量をオンスで示します。例:13.5oz
今の単位に変換すると、1ヤード=91.44センチ、1平方ヤード=0.84平方メートル、1オンス=約28.3g
不織布
不織布も「目付け」が「厚み」の尺度として使われています。そもそも、不織布を代表する数値が「目付け」です。
織物はいろいろな太さの糸を(わざわざ撚糸したりして)使用します。一方、不織布はその様には設計されません。繊維の太さが一定であれば、「目付け」が「厚み」や「硬さ」の尺度となるイメージがつかめやすいと思います。
新しい不織布
最近では、2層以上で、層ごとに太さが異なる繊維で構成した不織布が開発されています。
例えば、強度を持つ、太い糸で構成された不織布に沪過性能を持たせた細い糸で構成された不織布を積層することで、強度を持ちながら沪過性に優れたフィルターが実用化されています。
一種類の太さの場合、細い繊維で構成された不織布は沪過性に優れていますが、強度が不足しています。一方、太い繊維で構成された不織布は強度には優れていますが、沪過性に劣っていることになり、いわゆるトレードオフの状態でした。
これを解決するに「目付け」の異なる不織布を積層します。この分野は、今後、様々な製品に応用されていくと予想されます。
補足:サンプルの「目付け」を測定しなければならない試験項目として、ユニバーサル法による摩耗試験(JIS L 1096 A-1法(平面法))があります。これは、サンプルの「目付け」に応じて、「目付け」が大きいほど(生地が「厚い」or「硬い」)、粗い耐水ペーパーを用いて試験を行います。
初稿2017/04/30 改正2020/06/29