抗菌性試験とは?
抗菌性試験は、①定性試験、②定量試験の2種類に大別されます。
①定性試験
目的:抗菌性の有無を簡便に評価するために行う。
方法と評価:シャーレ中に植菌した培地の中央に抗菌加工した生地を置き培養する。抗菌性があれば、生地の周りに菌の生えない部分(ハロー)が生じる。実用性はとぼしく、抗菌性の有無を判断する予備的な試験との位置づけです。
②定量試験
目的:特定の菌に対して、増殖をどの程度抑制できるかを評価するために行う。
方法と評価:段階的に薄めた菌液を用意し、各々の菌液に試料を入れ、そこから採取した液を培地に植菌する。
生地への加工の抗菌性を評価したい場合は、加工以外すべて同じ条件となる生地を比較に用いる。これは生地自身に抗菌性がある場合があり、効果が加工によるためかを判断するために必要となります。
薬剤の抗菌性を評価したい場合は、抗菌性がないと確認されている生地に薬剤を滴下し、比較は同じ生地に殺菌した蒸留水を滴下して用います。
いずれも、菌を培養し菌数を数える。(この時、段階的に薄めた濃度の中で数えやすい濃度のものを用いる)
薬剤の濃度、処理時間、紫外線などの条件を実用条件と近づける事ができ、実用性は高い。(紫外線の照射時に抗菌性を発揮するものなどについては、紫外線の強度・時間を実用条件に近づける)
抗菌性試験の評価方法は?
菌数を対数的に比較し、どの程度、増殖を抑えたかを評価します。
おおむね増殖を「1/100」に抑制できれば、抗菌性ありと判断されます。(対数の表現で2以上減少)
抗菌性試験の注意点
抗菌性試験で用いる菌は一種類であり、その菌への効果しかわからない点に留意しなくてはいけません。つまり、すべての菌に対して効果がある事が担保されていません。
医療用途では、複数の試験をする事で効果を担保してます。その場合、用いる菌の例として、黄色ぶどう球菌、肺炎かん菌、MRSAを必須としています。
初稿2016/06/11 改正2020/07/26