再生繊維としての絹
絹の研究は活発に行われています。例えば、他の生物を利用してシルク蛋白を生成し、それを取り出して精製した後、繊維にする研究が進められています。このようにして作られた繊維は、どのように分類されるべきでしょうか?これは「再生繊維」と呼ばれるのでしょうか?
蛋白質系再生繊維の種類
再生繊維というと、一般的にはレーヨンを思い浮かべますが、歴史的に見ると他にもいろいろな種類がありました。ここにあるのは、昭和38年頃の「繊維の分類表」です。今ではあまり聞かない繊維やその商標が書かれています。注目すべきは再生(人造)繊維の項目です。以下にその分類を書き出してみます。
再生繊維の分類では、現在はセルロース系のものだけですが、以前は蛋白質系の繊維も存在していました。例えば、牛乳、大豆、トウモロコシなどからも繊維が作られており、その中には「再生絹糸」も含まれていました。このことからも、当時から研究が行われていたことがうかがえます。
今ではあまり聞かない繊維
この「繊維の分類表」を見ると、現在ではあまり聞かれない繊維が含まれています。例えば、セルロース系の中に「ニトロセルロース」や「鹸化アセテート」がありますが、それらの詳細ははっきりしません。前者の「ニトロセルロース」は、火薬や接着剤として使われるもので、繊維化が可能だったのでしょうか?
また、後者の「鹸化アセテート」は、アセテートを鹸化したものか、レーヨンを改質して(アセチル化)アセテートを作り、それを鹸化したものなのでしょうか?そもそも、アセテートであれば半合成繊維に分類されるはずなので、謎が多いです。
今後の「繊維の分類表」の変化
「繊維の分類表」では、新しい繊維が加えられ、生産中止になった繊維は除外されていきます。今後、現在使用されている「繊維の分類表」も変化していく可能性があります。
初稿2024/08/29