ピリング(毛玉)の発生メカニズムと効果的な対策方法

ピリングの定義と発生メカニズム

 生地の表面が摩擦により、繊維の一部がほぐれて細い繊維が生じ、それが絡み合いながら小さな玉状に成長して行きます。この形成された玉状のものを「ピル(pill)」と呼び、現象全体を「ピリング」と呼びます。紡績糸の方が発生しやすく、冬に着るセーターなどで問題になります。また、毛ではピリングが発生しても、ピルが落ちることがありますが、合成繊維では糸が強く、ピルが落ちることが少なく、合成繊維の方が目立ちます。

対策方法

ピリングを改善するためには、以下の方法があります。

規格変更が可能

1)毛焼き

 表面から飛び出した細い繊維を熱で焼き取る「毛焼き」加工で、特に紡績糸で効果的です。これにより繊維の絡み合いが抑えられ、ピルを発生しにくくします。

2)組織を変える

 浮いた糸を少なくする。凸凹を少なくすることで、摩擦による引っ掛かりが少なくなることで、ピルを発生しにくくします。

規格変更が不可

 この場合は、「抗ピル加工」などの後加工となります。主な方法は以下のとおりです。

3)樹脂で固める

4)潤滑剤を塗る

5)繊維を弱くする

 これは、ピルが発生しても、生地から取れてしまい、ピルが目立ちにくくなります。合成繊維で特に有効です。

6)裏に生地を貼る

 ピリングは、生地の中の糸を引っ張り出し、成長していくため、裏に生地を貼ると糸が動きにくくなり、ピリングの成長を阻害します。

初稿2016/11/16 二稿2025/09/13

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