生地だけでなく製品でも強度試験を行います。例えば、製品の縫製部分やかばんの持ち手部分などです。
引張試験機による製品の強度試験
引張試験機を使用し強度試験を行います。生地の場合は、生地を短冊型に切り取れば、試験片となりますが、製品の場合は、縫製部分や取り付け部分を取り出す必要があり、工夫が必要です。
参考になるJISの試験法としては、「L1093 繊維製品の縫目強さ試験方法」があります。この試験方法は、製品のなかで、縫糸の種類及び縫目の形が同一であって、縫い合わせ方向、縫い方向、縫い代及び単位長さ当たりの縫目の数が均一なものが得られる部分から試験片を採取します。
製品の中に同じ縫い代分が長くあればいいのですが、できるだけ条件にあった部分を製品から取り出す必要があります。このため、製品と同じ生地・縫製方法で試験片を作ることもあります。
また、この方法は、取り付け部分が少ないかばんなどの持ち手にはむきません。
ぶんまわし試験
かばんなどの持ち手については、実用試験として、「ぶんまわし試験」(通称)があります。
その方法は、かばんに水を入れたビニール袋を詰め込むだけ詰め込みます。つまり、かばんの容積が20 Lならば、20 kgのおもりを入れることになります。この状態で持ち手を持って振り回します。これで持ち手が取れなかったら合格という実用的試験です。
回すことにより、遠心力で、入れた水の重量よりも強い荷重がかかります。水をゆっくり入れるよりもきつい試験となります。
壊れ方の記録
また、これらの試験では、破断した時の値だけでなく、どの様な壊れ方をしたかが重要で、壊れた状態を記録しておくことが必要です。強度が不足している場合は、壊れ方をもとに、どのように修正するかがわかることが多々あります。
壊れた状態の例としは、①縫い糸が切断、②縫い代が破断、③生地が破断(または滑脱)などのケースがあります。
生地の試験、製品の試験
また、上述のL1093に似た試験として、滑脱抵抗力試験(L1096)があります。前者(L1093)は、繊維製品と同じ条件で試験し、後者(L1096)は、縫い糸、縫い目の数を指定して試験を行います。これは、前者(L1093)が製品の縫製部分(の強度)み主眼をおき、後者(L1096)は、生地(の滑脱)に主眼をおいているからと考えられます。
初稿2012/04/24