極細繊維

紡糸口金(ノズル)を小さくする

 化学繊維の製造方法は、原料を液体にして*)、紡糸口金(ノズル)から押出して繊維にする方法が主流です。紡糸口金を小さくしていけば、それに応じて、糸を細くできると考えてしまいますが、その口径を小さくしていくと表面張力により糸が製造できなくなります。小さい穴に粘度の高いものを入れると出にくくなり、さらには出なくなるイメージです。この様に極細繊維を製造するには工夫が必要です。

*)主な方法は2つあります。①熱で溶融、②溶媒で溶解

極細繊維の製造方法

 極細繊維を製造する方法については、以下の方法があります。

①異素材複合(海島型):2種類の成分(例:ポリエステルとポリビニルアルコール)で紡糸し、1成分を溶解除去させ(この例の場合はポリビニルアルコールを溶解)、極細繊維を得る方法です。

 下に模式図を示します。海に島が浮かんでいるかのようです。黄色の部分を溶解させ、青い部分が極細繊維になります。この場合7本になります。

海島型模式図

②異素材複合(剥離分離型):2種類の成分(例:ポリエステルとナイロン)で紡糸し、物理的ショックなどで分離させる方法です。

③紡糸技術の工夫:紡糸技術の工夫により製造する方法です。

 以上をまとめると以下の様になります。

製造方法の分類例:商品名
《製造元》
素材備考
異素材複合 (海島型)エルモザ 《㈱クラレ》ポリエステル0.03dtex 生産時はポリエステルとポリビニルアルコールで紡糸し、後者を熱水にて溶解
異素材複合 (剥離分離型)ランプ 《㈱クラレ》ポリエステルとナイロン0.3d(超偏平形状) ポリエステルとナイロンを11層に紡糸、水に対する膨潤率の差により割繊(工程としては糊抜き精練工程を利用、割繊前は通常の糸と同じ様に扱える) 
紡糸技術の工夫ビサイロン 《旭化成㈱》ポリエステル0.10~0.15d
極細繊維の具体例とその特徴

 ここでは、糸として使用できる製品のみについて述べました。繊維長が短く、不織布でしか利用できない製品(スパンボンド不織布など)は除外しています。

極細繊維を使用した製品

 同じ繊度でも、構成する繊維(フィラメント)をより細くすることで、製織された生地の風合いは軟らかくなります。そのため、より細い繊維を製造することが求められていました。開発された極細繊維で製織された織物の風合いは、軟らかいというよりも別の風合になりました。(「ねっとり」と表現されることが多い)また、生地よりも革に風合いが近くなるとも表現されます。極細繊維の主要な用途は、フィルターやメガネ拭きなどです。更にポリウレタンなどと組み合わされ人工皮革を作ります。

極細繊維の欠点

 また、極細繊維は強度が弱いため、準備工程や製織工程が難しくなります。特に染色は濃色が染まりにくく、色が落ちやすいなどの問題が生じます。

多孔中空糸

 異素材複合(海島型)の溶解する部分と溶解させない部分を入れ替えると、多孔中空糸ができます。下に模式図を示します。レンコンのようです。黄色の部分を溶解させ、青い部分が中空繊維として残ります。

多孔中空糸模式図

初稿2021/06/24

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